カニの知識
冷凍カニの美味しい食べ方|失敗しないコツは解凍時間にあり

冷凍カニには「生冷凍」と「ボイル冷凍」があり、おすすめできる食べ方が違います。未加熱か加熱済みかによって、適した調理方法があるからです。 本記事は「冷凍カニの食べ方と解凍方法」について、詳しく解説します。料理人歴16年の経験と知識に基づいたやり方です。 結論から言うと、冷凍カニの食べ方で失敗しないコツは、食べる前の解凍方法にあります。カニは水分を多く含むため、解凍時に水分と共に旨みが抜けやすくなるからです。旨みを逃さず解凍できる裏技があるので、参考にしてみてください。 本記事を最後まで読めば、冷凍カニの「美味しい食べ方」と「失敗しない解凍方法」が身に付きます。 冷凍カニについて詳しく知りたい方はカニを美味しく届けるための加工方法をどうぞ。 冷凍カニは2種類|生とボイル 冷凍カニは2種類あり、未加熱か加熱済みかで食べ方や解凍方法が異なります。 生の状態から冷凍する「生冷凍」‥未加熱 茹でてから冷凍する「ボイル冷凍」‥加熱済み どちらも漁獲から冷凍までの時間が短いほど、味や鮮度が保たれます。カニはとても傷みやすく、船に揚げられた瞬間から劣化していくからです。 生冷凍カニの特徴|生の状態から冷凍 生きているカニをわざわざ冷凍するのは、鮮度を保つためです。 水槽に入っている活カニは餌も与えられず、時間がたつほど弱っていきます。活きが悪くなる前に冷凍することで、漁獲時の鮮度を保てるのです。 【生冷凍カニの特徴】 カニの香りと旨みが強い 水分が多くてジューシー 生食用以外は要加熱 生食用の表記がない限り、加熱しないと食べられません。獲れたてを船上で凍結したものは「船凍品」と呼ばれます。 ボイル冷凍カニの特徴|ボイルしてから冷凍 日本で流通するカニは「ボイル冷凍」が主流です。茹でることで適度に水分が抜け、生と比べて甘みが凝縮されています。 茹でてから冷凍までが早いほど、品質が低下しません。カニは茹でた後も劣化し続けるからです。 【ボイル冷凍カニの特徴】 カニの甘みが強い ふっくらとした食感 そのまま食べられる 加熱してあるので、解凍するだけで食べられます。絶妙の茹で加減に仕上げるには、熟練の勘と技が必要です。 冷凍カニの美味しい食べ方|旨みを残す火のとおし方 生冷凍カニとボイル冷凍カニでは、食べ方が異なります。それぞれのよさを引き出す調理法は、下記のとおりです。 3 件中 1 から 3 まで表示 カニ味噌が存分に味わえる茹でガニ 解凍してすぐ食べられるので、ボイル冷凍カニがおすすめです。 もっともポピュラーな食べ方で、身やカニ味噌の旨みが存分に味わえます。茹でることで余分な水分が抜け、生のときより甘みが増しています。 自分で茹でれば生冷凍カニでもできますが、茹で加減が難しいのでおすすめしません。 1杯丸ごとの場合は、甲羅を下にしたまま盛り付けるのがコツです。脚部を取り外しやすく、カニ味噌がこぼれません。蒸し器を使えば、温め直すこともできます。 香ばしさと甘みが楽しめる焼きガニ どちらの冷凍カニにもおすすめの食べ方です。大量の水分が出るため、むき身だとカニのエキスが流れてしまいます。 生冷凍カニの場合は、半解凍してからじっくり焼きます。 網焼き・七輪‥焼き時間5分ほど フライパン‥3~5分ほど焼き、フタをして3~5分 ボイル冷凍カニの場合は、8割ほど解凍してサッと炙る程度です。 網焼き・七輪‥焼き時間3~4分ほど フライパン‥フタをして3~4分ほど カニエキスがこぼれないように、つねに殻を下にして焼いてください。殻に焼き目が付き、水分が吹き上がってきたら食べ頃です。 カニを味わい尽くすカニ鍋・カニしゃぶ 冬の定番といえる食べ方で、カニの旨みを余すことなく味わえます。 ボイルでもできますが、生のほうが失敗しません。加熱済みの状態で煮込むと、水分が抜けすぎてパサつくからです。 鍋料理は煮込まないと出汁が出ないため、生冷凍カニのほうが向いています。しゃぶしゃぶの場合は、プリプリの食感を楽しめます。 すべての具材を入れたあと、最後にカニを加えるのがポイント。生とボイルでは、鍋に入れるタイミングが違います。 生冷凍カニ‥火が通るまでじっくり煮込む ボイル冷凍カニ‥温める程度にサッと火を通す 失敗しない冷凍カニの解凍方法|料理人が裏技を伝授 本来は生冷凍カニとボイル冷凍カニで、解凍方法が異なります。 生冷凍カニ‥流水で短時間解凍 ボイル済み冷凍カニ‥冷蔵庫でゆっくりと解凍 どちらにも使える失敗しない裏技が「氷水解凍」です。冷凍カニと周囲の温度差をなくすことで、旨みを閉じ込めたまま解凍できます。 解凍した瞬間から劣化するので、食べるぶんだけ溶かしましょう。丸ごと1杯の場合はカニ味噌がこぼれないよう、つねに甲羅を下にします。 料理人が教える裏技・氷水解凍 旨みたっぷりのカニエキスを逃さないために、冷凍カニに近い温度帯にします。周囲との温度差が大きいほど、大量の水分と共に旨みも流出するからです。 水は空気よりも熱伝導率がよいので、氷を入れても常温や冷蔵庫より早く解凍できます。 大きめの容器に氷水を入れる(冷凍カニが浸かるくらいの量) 袋に入れた冷凍カニを沈める(浸水を防ぐため、袋の口を容器の外に出す) カニが浮かばないよう重石をする(水から出ている部分は溶けない) 表面に付着する氷の膜をまめにはがす(低温すぎると解凍が進まない) 殻や甲羅に弾力が出てきたら解凍完了(3~5時間が目安) 氷が少なくなったらつぎ足して、低温をキープしてください。 解凍するときの注意点 生・ボイル冷凍カニに関わらず、やってはいけないことがあります。 【禁止事項】 常温解凍 電子レンジ解凍 冷凍のまま加熱調理 完全に解凍する 解凍後に放置 再冷凍する 常温や電子レンジで解凍すると、冷凍カニと周囲の温度差が大きくなり旨みが流出します。 黒く変色したり味が落ちたりするので、完全には解凍しません。(生冷凍カニ→半解凍、ボイル冷凍カニ→7~8割ほど) 解凍後に放置したり再冷凍したりすると、劣化の原因になります。 食べ終わった冷凍カニの捨て方|捨てる前の活用方法 カニの殻はきちんと処理しないと、悪臭を放ちます。 殻に付着している水分を、しっかり処理することが重要です。水気が残っていると、臭いが広がりやすくなります。 食べ終わったカニ殻は水洗いして、ザルなどで水気をよく切りましょう。 【臭いが出ない捨て方】 捨てる直前まで冷凍する 新聞紙で包んで袋を二重にする お茶がらやコーヒーかすをかける カニ殻には、有効活用できる余地が多く残っています。 殻でカニ出汁を取る 食べ終わったカニ殻からは、濃厚な出汁が取れます。...
カニ鍋に合うおすすめの具材【だしの種類に合わせて選ぼう】

カニ鍋といえば、たまにしか食べられないごちそうです。具材のチョイスで、台無しにしたくはありませんよね。 カニの味は淡泊なので、入れる具材によっては繊細な風味が損なわれてしまいます。カニの香りと旨みを存分に味わうには、だしの味や濃さに合わせて具材を選ぶのがポイントです。 本記事はカニ鍋に合うおすすめの具材について、詳しく解説します。現役の料理人がカニ鍋の種類やだしの味ごとに、おすすめの具材を紹介していきます。最後まで読めば、カニ鍋の具材選びで失敗しません。 カニ鍋にピッタリ合う!厳選カニ通販サイトのご紹介 カニ通販.com(当記事監修・運営サイト) カニ通販.comでは、日本屈指の最高級ホテルで提供している出汁、つけダレが同封されており、最高品質の蟹が食べれます! カニ本舗 ネットショップ大賞10年連続1位を受賞サイト! 北海道網走水産 水揚げされたカニを職人さんが浜茹でして急速解凍! カニ鍋におすすめの具材|失敗しない王道の具材 結論から言うと、カニの味を邪魔しない具材は5つです。 白菜 豆腐 椎茸 春菊 長ねぎ 椎茸は他のキノコで代用できます。カニ鍋に合うのは、カニの味を邪魔しない淡泊な具材です。カニの風味は繊細で、合わせる具材によっては消えてしまいます。 風味とは、食べ物を口に入れたときに感じる香りや味のこと。舌で感じる味覚と違い、風味には食材独特の香りが含まれます。 カニの風味が飛んでしまうと、何を食べているのかわからなくなる可能性があります。せっかくのカニ鍋も、カニの味がしなければ台無しです。 王道の具材5選 カニ鍋に入れても失敗しない王道の具材は5つ。 白菜 豆腐 椎茸 春菊 長ねぎ 白菜や豆腐など、カニの味を邪魔しない具材がメインです。春菊や長ねぎなどの香味野菜は魚介の臭みを消し、香り豊かにします。椎茸はエノキや舞茸でも代用可能です。 種類にかかわらず、具材にキノコ類を入れるのがポイント。三大うま味成分のひとつ「グアニル酸」を含むからです。魚介類がもつ「イノシン酸」と「グルタミン酸」、キノコ類がもつ「グアニル酸」の相乗効果により旨みが何倍にも増加します。 例えば「カツオ節+だし昆布+干し椎茸」の3つは、日本人にはなじみ深い和風だしです。 王道以外の具材5選 王道以外でもカニ鍋に合う具材があります。 人参 タラ 鶏肉 油揚げ マロニー 「カニとタラで海鮮系の具材が被るけど?」「肉を入れたらカニの味がしなくなるんじゃ?」と思われるかも知れませんが、大丈夫です。 タラは旨みは強いけど香りは弱い具材なので、カニの味を邪魔しません。むしろタラの旨みがカニ鍋に溶け込み、魚介の風味が効いた極上のだしに変わります。 鶏肉の脂は、淡泊なカニ鍋にコクをプラスします。脂分が多すぎる豚肉や牛肉のように香りが強い肉は、カニ鍋との相性がよくありません。鍋のだしが「醤油・味噌・塩」によって「鶏つくね・もも肉・手羽先」と使い分けるのがおすすめです。 マロニーは煮すぎると崩れるので、食べるぶんだけその都度加えましょう。 カニ鍋に合うしめの具材3選 おすすめのしめと、相性のよいだしは下記のとおり。 うどん‥醤油だし ラーメン‥味噌だし 雑炊‥塩・カツオ昆布だし だしの味付けによって、しめの相性が異なります。濃厚なだしには麺類が、あっさりめのだしには雑炊がよく合います。 生麵を使うときは下茹でしてから鍋に加えると、だしが濁りません。表示時間より短めに茹で、カニエキスがたっぷり出た鍋の中で仕上げてください。 カニちりやカニしゃぶの場合は、カツオと昆布のみでだしを取ります。カニちりやカニしゃぶについては、次で詳しく解説します。 カニ鍋は3種類|それぞれに合うおすすめ具材 カニ鍋は食べ方を選べるのが醍醐味です。だしの味を変えたり、好きなタレを付けたりできます。カニ鍋の種類ごとに、相性のよい具材があります。 【カニ鍋の種類】 カニすき‥寄せ鍋 カニちり‥水炊き カニしゃぶ‥しゃぶしゃぶ だし自体に味が付いているタイプと、ポン酢などのタレに付けるタイプにわかれます。 寄せ鍋風のカニすき 寄せ鍋にカニを入れたバージョン。 濃いめのだしにカニと具材を入れ、だしと具材を一緒に食べるのが一般的です。だしの味は醤油・味噌・塩の3種類があり、それぞれに相性のいい具材があります。 【カニすきにおすすめの具材】 白菜・キャベツ 豆腐・椎茸 春菊・水菜 長ねぎ・もやし マロニー・油揚げ 鶏肉・タラ・エビなど 王道の具材5種類をベースに、だしの味でラインナップを変えるとよいでしょう。下記で、だしの味ごとにおすすめの具材を紹介しています。 水炊き風のカニちり ちり鍋とは魚をメインにした鍋料理のことで、カニちりとは文字通りカニをメインにした鍋のことです。 昆布と水だけで取っただしには味を付けず、ポン酢などのタレを付けて食べます。煮込んでいくうちに、カニの殻からいいだしが出ます。 【カニちりにおすすめの具材】 白菜 豆腐 エノキ 長ねぎ 春菊(セリ) 形状的に、エノキのほうがポン酢によく絡みます。七草のひとつであるセリは香りや歯ごたえがよく、ポン酢との相性も抜群です。 しゃぶしゃぶ風のカニしゃぶ しゃぶしゃぶ鍋のカニバージョン。 昆布で取っただしにカニや具材をくぐらせ、ポン酢などのタレを付けて食べます。カニちりとの違いは「煮込むか煮込まないか」です。 カニしゃぶはサッと湯通しする程度なので、鍋の中にカニのエキスがそこまで出ません。合わせる具材も火が通りやすいものがおすすめです。 【カニしゃぶにおすすめの具材】 水菜 豆腐 人参 椎茸 長ねぎ 火の通りをよくするために、人参・長ねぎは薄めにカットするのがコツです。人参は輪切りか短冊切りに、いずれも薄く幅広く切ったほうが食べ応えがあります。長ねぎは5mmほどの幅で、斜めに笹切りにしましょう。 カニ鍋におすすめの具材|だしの味に合わせて選ぶ カニすきの場合はだしの味を選べますが、味付けに合わせて具材を変える必要があります。あっさり系のカニ鍋にはクセの少ない具材、こってり系のカニ鍋には旨みが強い具材を選びましょう。 【カニ鍋のだし】 ...
紅ズワイガニが出回る時期【旬や漁期を料理人が詳しく解説】

紅ズワイガニが出回る時期は、あまり知られていません。ズワイガニと比べて漁期が長いため、漁の解禁が話題にならないからです。 本記事では、紅ズワイガニの最盛期や旬の時期を詳しく解説します。最後まで読めば、どの時期でも常に美味しい紅ズワイガニを手に入れられます。 現役料理人イチオシの食べ方も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。 結論から言うと、紅ズワイガニは時期に関係なく1年中出回ります。産地ごとに旬や漁期が違うため、常にどこかの港で水揚げされるからです。 「どの時期にどこの紅ズワイガニが美味しくなるのか」を知っておくと失敗しません。 紅ズワイガニの基礎知識を知りたい方はコチラの記事をご覧ください。紅ズワイガニとズワイガニの違い 紅ズワイガニが出回る時期|産地ごとに違う旬と漁期 紅ズワイガニが出回る時期(旬や漁期)は、産地によって異なります。気候や地形が違うため、産卵期や繫殖期がずれるからです。 紅ズワイガニの漁期 産地によって漁期が異なるため、結果的に通年漁獲されます。漁獲していい大きさやメスの全面禁漁など、資源保護のため厳しい規制があります。 周辺を海に囲まれた北海道は漁場が豊富で、漁場ごとに漁期が違います。常にいずれかの漁場で紅ズワイガニが獲れるため、どの時期も北海道産が揚がります。 北部は夏から翌年の春頃、南部は春から夏頃までが漁期です。 利尻・礼文島(れぶん)~茂津多岬(もったみさき):7~4月 茂津多岬~松前大島周辺:4~8月 紅ズワイガニが美味しい時期 味だけでいえば、どの時期でも大きな差はありません。紅ズワイガニが生息する深海には四季がなく、環境の変化がほとんどないからです。 ただし、紅ズワイガニは傷みやすいため、漁獲後の鮮度管理がかなり重要です。基本的に日本海側は気温が低いですが、やはり寒い時期のほうが鮮度を保ちやすくなります。味は通年同じでも鮮度が落ちにくいぶん、寒い時期が美味しいといえるでしょう。 時期だけで選ぶなら、1~2月に北海道で獲れるものがおすすめ。極寒の北海道で育った紅ズワイガニは、味・鮮度ともに抜群です。 紅ズワイガニの名産地 主な産地は北海道北部から山陰地方の、日本海側に集中しています。紅ズワイガニが生息するのに適した、水深1000m以上の低温海域が多いからです。 有名なのは「香住ガニ(かすみがに)」で知られる兵庫県香住港や「カニかご漁発祥の地」である富山県など。カニ王国北海道ではズワイガニといったら紅ズワイガニを指すほど、各地で漁が盛んです。 カニかご漁とは、深海に生息する紅ズワイガニを獲るために編み出された漁法です。餌を入れたかごを海底におろし、カニが入るのを待ちます。底引き網漁のように引きずらないため、カニが傷付きません。 紅ズワイガニの特徴|味や安くなる時期を詳しく解説 茹でる前から赤いので紅ズワイガニと呼ばれ、深海の水圧を逃がすため殻がやわらかくできています。 【紅ズワイガニの特徴】 甘みが強い 水分が多い 殻がやわらかい 身入りが少ない 他のカニより安い むき身などの加工品で流通することも多く、カニグラタンやカニクリームコロッケの原料にもなります。加工の際に捨てられる大量の殻からは「キチン」や「キトサン」という物質がとれ、医薬品や健康食品などにも利用されています。 メスは全面禁漁のため、市場に流通するのはオスのみです。 紅ズワイガニの味 ズワイガニよりも安価ですが、甘みは紅ズワイガニのほうが強いです。水分が多い身は、やわらかくてジューシー。 殻がやわらかいので調理しやすく、食べやすい点がズワイガニと違います。カニ味噌はやや水っぽさが残りますが、濃厚な味わいはズワイガニに劣りません。 厳しい漁獲規制などが功を奏し、近年は身入りのよい紅ズワイガニが増えました。身入りの悪いカニはほぐし身で販売する(姿で売らない)など、選別もかなりしっかりしています。 紅ズワイガニが「安かろう悪かろう」だった時代はもう過去の話です。 購入する際の値段の目安 通販などで購入する際の目安は、1㎏5,000円ほど。生の姿や「香住ガニ」などのブランドガニは、もっと高価です。 海の幸は漁獲量が増える時期は安くなる傾向があり、紅ズワイガニの場合は産地によって時期が異なります。漁の最盛期を旬とする地域が多く、1年でもっとも漁獲量が増えるため値段も下がります。 【産地ごとの旬(最盛期)】 幻の希少種「黄金ガニ」 ズワイガニと紅ズワイガニが交配して産まれる、珍しいカニのこと。水深400〜600mはズワイガニと紅ズワイガニの両方が生息するため、まれに交雑種が産まれるのです。水揚げされるのは数千匹に1匹の割合で、黄金のように希少価値が高いことから「黄金ガニ」と呼ばれます。 黄色に近いオレンジ色の見た目で、味も両者のよさを併せ持つため人気です。紅ズワイガニのような強い甘みがあり、ズワイガニのようにぎっしり身が詰まっています。濃厚なカニ味噌はクセがなく、さっぱりとした後味です。 紅ズワイガニのおすすめの食べ方|現役料理人が解説 水分が多い紅ズワイガニは、茹ガニが一般的です。刺身などの生食は味がぼやけ、カニの旨みがあまり感じられません。しゃぶしゃぶ程度に熱を通すことで、より甘みが増します。 水分が多いため、冷凍にも向きません。解凍時に大量の水分と一緒に、旨みたっぷりのカニエキスが流出するからです。 定番の茹でガニ 紅ズワイガニ1杯が丸ごと入る大きさの鍋で、たっぷりお湯を沸かす。 沸騰したら3%の塩を入れる(3.000mlなら90g)。 甲羅を下にしてカニを入れる(仰向けにする)。 再沸騰してから15分ほど茹でる。 甲羅を下にしたまま粗熱をとる。 5分ほど氷水に浸けると、引き締まって身離れがよくなります。 大きい紅ズワイガニの場合は、長めに茹でましょう。茹で時間が短いとカニ味噌が固まらず、流れ出てしまいます。カニ味噌がこぼれないよう、食べるときも甲羅を下にしてください。 旨みたっぷりのカニ飯 味のポイントは、カニの殻でとった出汁を使うこと。紅ズワイガニの殻はやわらかいので砕きやすく、殻に含まれるカニエキスをたっぷり抽出できます。 カニの殻で出汁をとる以外は、通常の炊飯とほぼ同じです。紅ズワイガニ自体に塩味があるため、味付けは塩だけで十分。 殻を小さくカットする 殻を炒って香りを出す 酒を振って臭みを飛ばす 水を殻が被るくらい入れる 沸騰してアクが出たらとる 殻の断面が広いほど、カニエキスがたくさん出ます。キッチンバサミで、縦や斜めに大きくカットしましょう。茹でガニを使う場合、カニの身を炊き上がりに加えるとパサつきません。 寒い時期にピッタリのカニ鍋・カニしゃぶ 生ガニか茹でガニかで、鍋に入れるタイミングを変えるのがコツ。 生紅ズワイガニの場合は、早めに入れてある程度加熱し甘みを引き出します。茹で紅ズワイガニの場合は、食べる直前に入れて温める程度で引き上げましょう。加熱し過ぎると、旨みが抜けてパサつきます。 初めからカニ鍋・カニしゃぶ用に加工された生の紅ズワイガニがおすすめ。カニのプロによる、最適な下処理が施されているからです。お店ごとに、独自のタレや出汁が味わえるのも醍醐味です。 紅ズワイガニを選ぶならカニ通販がおすすめ 美味しい紅ズワイガニの選び方は3つ。 触って硬いもの もって重いもの 茹でてから時間がたっていないもの 脱皮から半年以上たった「堅ガニ」は甲羅が硬く、身が詰まっています。冷凍品の場合、重さはあまりアテになりません。氷の膜に覆われているため、カニ自体の重量より重い場合があるからです。紅ズワイガニは鮮度が落ちやすく、茹でた後も劣化が進みます。 紅ズワイガニ選びで失敗しないためには、信頼できるカニ通販サイトをひとつ見つけておくとよいでしょう。プロの視点で、良質なカニを選んでもらえるからです。仕入れから販売までを一括しているカニ専門店がおすすめ。 紅ズワイガニの購入は旬といわれる最盛期がおすすめ 紅ズワイガニは通年出回りますが、産地ごとに旬の時期が異なります。 漁の最盛期を旬とする地域が多く、味自体はほぼ1年中変わりません。紅ズワイガニが生息する深海には四季がなく、環境の変化がないからです。ただし、寒い時期のほうが鮮度を保ちやすいです。最盛期には漁獲量が増えるため、値段が安くなります。 紅ズワイガニのおすすめの食べ方は次の3つです。 茹でガニ カニ飯 カニ鍋・カニしゃぶ 水分が多いため、生食には向きません。冷凍品は、解凍時に大量の水分と一緒に旨みも抜けます。 紅ズワイガニの購入はプロによる確かな選別と下処理ができる、カニ専門店がおすすめです。
種類別!北海道で獲れるカニの旬【予算の目安や食べ方も解説】

「カニ王国」といわれる北海道では、ほぼ1年中カニが獲れます。周囲を海に囲まれているため、カニが獲れる漁場が豊富なのです。北海道の海がカニに適した環境であることも、カニ漁が盛んな理由です。 本記事では、北海道で獲れるカニの旬を種類ごとに解説します。現役の料理人によるおすすめの食べ方や、予算目安も解説しています。ぜひ購入時の参考にしてみてください。 予算目安は1㎏あたりの金額で計算しています。カニは大きさによって値段が変わるため、1杯あたりの値段では参考になりません。1杯の値段は安くても「そのぶんカニが軽かった」というケースがあるのです。 本記事を最後まで読めば、北海道で獲れるカニの旬や種類がわかります。 結論から言うと、カニの種類によって旬の時期はまちまちです。年に旬を2回迎えるカニもいれば、1年中出回るカニもいます。 冬の風物詩といえばズワイガニ 北海道産ズワイガニの旬は3~5月、漁期は年2回で11~12月と3~6月です。 冬が旬にあたる本州と、春が旬の北海道では漁期も異なります。気候が違うため、カニの産卵期がずれるからです。北海道では5~6月ごろに産卵期を迎え、産卵期前の春が旬にあたります。 ズワイガニといえば本州の日本海側も有名ですが、水揚げ量の日本一は北海道です。 ズワイガニのおすすめの食べ方 おすすめはカニ刺しか茹でガニ。カニ刺しの場合は、冷凍品であっても生食可能な商品に限ります。 ズワイガニは他のカニと比べて甘みが強く、カニ味噌も濃厚です。大型のオスなら脚も太く、刺身で食べても十分な食べ応えがあります。 茹でガニにすると適度に水分が抜け、より甘みが増します。殻からいい出汁が出るので、カニ鍋やしゃぶしゃぶもおすすめ。メスの場合は内子(卵巣)と、カニ味噌が混じり合った部分が非常に美味です。 カニの「身・味噌・殻・内子」すべてを味わえる点が、ズワイガニの魅力です。 ズワイガニを買うときの予算目安 カニ通販で購入する際の目安は、1㎏7,000~12,000円ほど。 北海道産の旬である3~5月は、産卵期前で漁獲量が増えるためやや値段が下がります。産卵期が近づくと、カニは水深が浅い沿岸に集まってくるからです。 オスよりメスのほうが安価ですが、産卵前(旬の時期)の内子は人気があります。北海道産でメスのカニが食べられるのは、花咲ガニとズワイガニだけです。 旬が年2回もあるタラバガニ 北海道産タラバガニの旬は年2回、4~6月と11~2月です。1回目の旬は流氷がすぎて身が甘くなる春から初夏、2回目の旬は脱皮を終えて身がぎっしりと詰まる秋から冬です。 ほぼ1年中獲れますが、主な漁期は3~11月で12~2月は漁獲量が減ります。寒い海域にしか生息しないため、日本で水揚げされるのは北海道のみです。 タラバガニのおすすめの食べ方 おすすめは焼きガニや鍋物。タラバガニは水分が多いため、生食にはあまり向きません。加熱することで余分な水分が抜け、カニの味が凝縮されます。 北海道産タラバガニの魅力は、食べ応え抜群の脚の身です。極太の脚はボリューム満点で、カニを食べたという満足感が味わえます。 カニではなくヤドカリの仲間なので、カニ味噌の味はイマイチです。 タラバガニを買うときの予算目安 カニ通販で購入する際の目安は、1㎏15,000~20,000円ほど。 漁獲量が少ないため輸入物が多く、北海道産は市場価値が高くなります。 鮮度を保ったまま配送するのが難しく、ほぼ冷凍品で生カニはかなり希少です。主な漁場である稚内は北海道最北端にあるため、カニを運ぶのに時間がかかるからです。 輸入物にはメスのタラバガニもありますが、北海道ではメスは全面禁漁となっています。 1年中食べられる毛ガニ 北海道産の毛ガニには特定の旬はなく、1年中美味しく食べられます。他のカニと比べて漁場が広く、各漁場によって旬の時期がずれるからです。 春:オホーツク海夏:噴火湾(内浦)秋:釧路・根室沿岸冬:日高沖・十勝沿岸など 漁期も漁場ごとに異なるため、結果的に1年中出回ります。 網走:3~8月宗谷:1~7月日高:12~4月胆振(いぶり):6~8月十勝・釧路:1~3月・9~12月 甲長(甲羅の前後の長さ)が8cm以上のオスのみ、漁獲が許されています。 毛ガニのおすすめの食べ方 おすすめは茹でガニ。毛ガニの醍醐味であるカニ味噌を、ストレートに味わえるから。 毛ガニはカニの中でも小ぶりですが、カニの甘みと旨みが強くカニ味噌は絶品です。甲羅の中でほぐした身とカニ味噌を和えると、非常に美味です。濃厚なカニ味噌が身の甘味を引き立てます。 食べ終わった甲羅は捨てずに、日本酒を注いで熱燗にしてもいいでしょう。日本酒にカニの風味やカニ味噌のコクが加わり、毛ガニの旨みを余すことなく味わえます。 毛ガニを買うときの予算目安 カニ通販で購入する際の目安は、1㎏15,000~18,000円ほど。 毛ガニが獲れるのは比較的水深の浅い沿岸で、漁獲量が安定しているため1年中出回ります。小さいカニやメスは全面禁漁などの厳しい規制があるため、大きさの割には高価です。 カニの中でも高級品ですが、実は北海道の人にもよく食べられています。時期による値段の変動が少ないからです。北海道民にはなじみ深いカニで、祝い事やハレの日などに食卓に並びます。 夏が旬・幻のカニと呼ばれる花咲ガニ 花咲ガニの旬は5~8月の夏場です。日本では北海道でのみ水揚げされ、漁期は4~9月です。根室沖やその近海でしか漁獲されないため、幻のカニと呼ばれています。 全身を大きなトゲと硬い甲羅に覆われ、茹でると花が咲いたように鮮やかな赤色になるのが特徴です。近年は漁獲量の規制も厳しくなり、希少価値が高まっています。 花咲ガニのおすすめの食べ方 おすすめは味噌汁で、北海道では「鉄砲汁」という名前の郷土料理です。もちろん、味噌味の鍋とも相性抜群。 花咲ガニの醍醐味は、エビのようなプリプリした食感と濃厚なカニの旨みです。脂がのった身にはコクがあり、茹でたては他のカニと比べても非常に美味です。 北海道ではオスだけでなくメスも人気。内子がカニ味噌付近にあり、味噌の旨みをたっぷり含んでいます。 花咲ガニを買うときの予算目安 カニ通販で購入する際の目安は、1㎏10,000~20,000円ほど。 漁期が短く漁獲量が極端に少ないため、非常に高価なカニです。近年、北海道産は小ぶりなものが多く、ベーリング海などで獲れるロシア産が主流になっています。旬の5~8月に揚がる花咲ガニが、もっとも大きく味もよい状態です。 北海道がカニ王国といわれる理由 北海道は「カニ王国」といわれるほど、カニ漁が盛んです。輸入物のカニが多くを占める中、国産カニの水揚げ量は日本一を誇ります。 北海道の地形や気候が生み出す豊富な漁場と、恵まれた環境で高品質なカニが育つことが理由です。 カニが獲れる漁場が豊富 北海道は周りを海に囲まれているため、カニ漁に適した漁場が豊富です。日本海や太平洋だけでなく、オホーツク海やベーリング海など北の海域にもあります。いくつもの漁場があるおかげで、種類に関わらず1年中いずれかのカニが漁獲できるのです。 漁場ごとに旬があり、どの時期にも美味しいカニが存在します。年間を通して旬のカニがたくさん獲れるため、全国に北海道産が多く流通しています。結果的に「カニといえば北海道」というイメージが浸透しているのです。 北海道産のカニは高品質 北海道で獲れるカニが非常に良質であることも、大きな理由です。味がよくなければ需要はなく、カニ漁も盛んにならないからです。 低温の海域を好むカニにとって、北海道の冷たい海は最適な環境といえます。タラバガニのように、水温10℃以下でなければ生息できないカニもいるほどです。 寒い時期にはオホーツク海からの流氷が流れ着き、カニの餌となるプランクトンを大量に運んできます。過ごしやすい環境と豊富な餌で育つ北海道産のカニは、王国の名に恥じない品質を誇ります。 北海道産の旬のカニはお取り寄せが便利 北海道産のカニは種類や漁場によって旬が異なり、結果的に1年中美味しいカニが存在します。北海道の豊かな自然が、豊富な漁場とカニにとって最適な環境を生み出すからです。 購入の際は、仕入れから配送までを一括している専門店がおすすめ。獲れたてを新鮮なうちに配送できるからです。 専門店で買う場合は、朝茹でのカニを選ぶとよいでしょう。カニは鮮度が落ちやすく、茹でてた後はさらに劣化が進みます。朝茹でなら生のカニを茹でたその日に届けるので、新鮮そのものです。冷凍品は日持ちしますが、いつ獲れたものかわかりません。 カニ通販の上手な選び方はコチラをご覧ください。 カニ王国といわれるほど高品質な北海道産のカニを、ぜひ味わってみてください。
紅ズワイガニとズワイガニの違い|味や値段を料理人が徹底比較

紅ズワイガニとズワイガニの違いを、完全に把握している人は多くないでしょう。両者は同じズワイガニでも値段が大きく違います。本記事では、紅ズワイガニとズワイガニの違いをわかりやすく解説します。 おすすめのカニ購入方法も紹介しているので、参考にしてみてください。 結論から言うと、紅ズワイガニとズワイガニの味に大きな違いはありません。どちらも甘みが強く、とても美味しいカニです。違いがあるのは食感、身に含まれる水分量が多少違います。 紅ズワイガニのほうが安い理由は、単純に漁獲量が多いからです。 最後まで読めば、両者の違いや魅力を理解できます。今回はどちらも国産とした場合の比較です。 他のカニの違いを知りたい方はコチラタラバガニとズワイガニの違い 紅ズワイガニとズワイガニの味の違い|紅ズワイガニが安い理由 ズワイガニはオスのほうが高価で、輸入物でも大きければ高値が付きます。メスはオスの半分ほどの大きさしかなく、市場価値は下がります。 紅ズワイガニのメスは全面禁漁のため、流通することはありません。 3 件中 1 から 3 まで表示 値段の違い【紅ズワイガニが安い理由】 紅ズワイガニが安い理由は3つ。 漁期が長くたくさん獲れる 水分が多く身入りが少ない 水分が多いため日持ちしない 味に直結する理由ではなく、希少性や賞味期限の問題が大きいようです。カニクリームコロッケなどの加工品や寿司ネタになることも多く、カニ味噌は缶やビン詰めに加工されています。 値段もズワイガニの半分ほどで、松葉ガニなどのブランドガニの場合は5分の1から10分の1になることもあります。全面禁漁のためメスが流通しないことも、ズワイガニとの大きな違いです。 甘み・食感・カニ味噌を徹底比較 どちらも加熱することで適度に水分が抜け、旨みが凝縮されます。プリプリの食感は減りますが、甘みと香りが増します。 紅ズワイガニの味 紅ズワイガニは水分が多いため、ジューシーでやわらかい食感です。甘みが強く、カニ本来の味をしっかりと感じられます。ズワイガニとの違いは、殻が薄く食べやすい点です。 おすすめの食べ方は茹でガニです。水分が多いためカニ刺にすると味がぼやけ、焼きガニでは水分が抜けた途端にパサつきます。茹で加減がとても難しく、ジューシーに仕上げるには熟練の技が必要です。 水分が多い紅ズワイガニは、冷凍保存に向きません。解凍時に大量の水分と一緒に、旨みも抜けてしまうからです。茹でたあとはできるだけ早く食べましょう。 カニ味噌は加工品に利用されるほど味がよく、十分な量が入っています。 ズワイガニの味 ズワイガニの脚は太く、ぎっしり身が詰まっています。殻が硬いため、食べやすいような下処理が必要です。カニ刺・鍋・天ぷらなどの食べ方がおすすめで、加熱すると甘みが増すだけでなく殻からもいい出汁が取れます。 ズワイガニのもうひとつの魅力は、ぎっしり詰まったカニ味噌です。濃厚で旨みが強く、鮮度がよければ臭みはありません。メスのズワイガニの甲羅内部にある内子(卵巣)は「赤いダイヤ」とも称され、カニ味噌と混じり合った部分が非常に美味です。 旬と漁期の違い カニの漁期は基本的に、旬の時期と重なります。若いカニを獲らないよう、もっとも大きくなるタイミングで解禁されるからです。乱獲をさけるため、漁獲していいサイズなどを厳しく制限しています。 紅ズワイガニの旬と漁期は地域ごとに違い、結果的に年間通して出回ります。 北海道:1月~8月 山陰地方:11月~2月 北陸地方:6月~8月 ズワイガニの旬はどの産地もほぼ同じで、漁期も旬に合わせています。紅ズワイガニと違いメスも漁獲しますが、資源保護の観点からオスより漁期が短く設定されています。 紅ズワイガニとズワイガニの産地の違い|日本海側で多く獲れる理由 国産の紅ズワイガニやズワイガニは、ほぼ日本海側で漁獲されます。カニに適した環境が整っているからです。 ズワイガニのほうが漁獲量が多く、紅ズワイガニと比べ3倍ほど違います。 2 件中 1 から 2 まで表示 日本海側で多く獲れる理由 日本海の複雑な地形や環境は、紅ズワイガニやズワイガニが生息するのに適しています。水深の平均は1667mと深く、周辺の海と海水が混ざるのは表面のみで海底にはほとんど変化がありません。 「日本海固有水」と呼ばれる海洋深層水には、生命活動に必要な栄養と酸素がたっぷり含まれています。とくに、海水に溶け込んでいる酸素量は太平洋側よりも多く、カニの餌となる生物が集まってきます。豊富な餌と酸素に囲まれた水深200m以下の深海は、カニが繁殖するのに最適な環境なのです。 漁法の違い 紅ズワイガニは「カニかご漁」が主流です。餌の入ったかごを海底に沈め、かごの中にカニが入るのを待ちます。底引き網漁との大きな違いは2つ。 カニを傷つけずに漁獲できる 甲羅の中に砂が入らない 資源保護のため、規定より小ぶりなものやメスは海へ戻す決まりです。 ズワイガニの主流は「底引き網漁」です。海底に網を沈め舟で引き、網に入ったカニを引き揚げる漁法です。1~2名の船員で日帰り操業することもあれば、10人をこえる大型船で数日かける場合もあります。紅ズワイガニと違いメスも漁獲しますが、小さい若ガニは戻します。 紅ズワイガニとズワイガニの主な産地 北海道・新潟県・富山県・石川県・福井県・兵庫県・鳥取県・島根県などです。地域ごとにブランドガニが存在し、高値で取り引きされています。ブランドガニとして認められるには、大きさや重さなどの厳しい基準をクリアしなければなりません。 紅ズワイガニ 兵庫県の「香住ガニ」 富山県の「高志の紅ガニ」(こしのあかがに) ズワイガニ(オス) 鳥取・島根県の「松葉ガニ」 福井県の「越前ガニ」 石川県の「加能ガニ」など ズワイガニ(メス) 石川県の「香箱ガニ」 山陰地方の「セコガニ」など 紅ズワイガニとズワイガニの分類学上の違い|殻の色が違う理由 両者は元々同じ種だと考えられており、分類上の違いもほとんどありません。大きな違いは見た目の色くらいですが、生息している場所はかなり違います。 4 件中 1 から 4 まで表示 ズワイガニとの生態の違い【殻の色が違う理由】 生息している水深の違いが、大きな理由です。 茹でるとカニが赤くなるのは、殻に含まれる「アスタキサンチン」という色素によるもの。海中では外敵から身を守るために、アスタキサンチンとタンパク質が結びついて青黒く変色します。加熱するとアスタキサンチンとタンパク質が分離して、赤色に戻るというわけです。 紅ズワイガニが生息する400~2700mの超深海では、外敵に赤色が認識される心配はありません。変色する必要がないため、アスタキサンチンとタンパク質が結合せず赤いままなのです。 水深400~600mでは紅ズワイガニとズワイガニの両方が生息するため、まれに交雑種が存在します。「黄金ガニ」と呼ばれ味もよく希少ですが、滅多に漁獲されません。 見た目や特徴の違い 茹でる前から腹まで色が赤いため、紅ズワイガニと呼ばれます。深海の水圧を逃がすために、殻がやわらかいのが特徴です。 ズワイガニと違い成長するのに時間がかかるため、1㎏超えの大物は滅多に揚がりません。メスは隔年でしか産卵しないこともあり、資源保護のため全面的に禁漁です。 腹まで赤い紅ズワイガニと違い、ズワイガニは茹でても腹に白い部分が残ります。脱皮直後の殻はやわらかいですが、半年ほどで硬くて丈夫な「堅ガニ」となります。 分類学上の違い 分類学上は、同じケセンガニ科のズワイガニ属。 両者は近縁種で、紅ズワイガニの先祖はズワイガニだったとされています。氷河期に深海に取り残されたズワイガニが、環境に適応するため変化し紅ズワイガニになったと考えられています。 その他のズワイガニ属で流通するのは、オオズワイガニです。主にベーリング海やカムチャッカ半島東部など、北海道より北の海域に生息しています。ズワイガニよりも大きく味もよいため、料亭や高級ホテルで重宝されています。漁獲量が少なく非常に高価なので、滅多にお目にかかれません。 紅ズワイガニを買うなら専門店がおすすめ カニ専門店の中でも、紅ズワイガニをメインで取り扱っているお店が望ましいです。鮮度が落ちやすく冷凍にも向かないため、取り扱いが難しいからです。...